blog.hekt.org

RSAA/RCAAとピタゴラス勝率で予測する'12ファイターズ

RSAA/RCAAというのは、ある選手がその出場機会に於いてリーグの平均的な選手と比較しどの程度失点を防いだか、得点を増やしたか、という指標です。2011から2012にかけてのファイターズはダルビッシュの退団とスレッジの入団というのが一番大きな変化ですから、この二人を中心に得失点や勝率がどのように変化するかをみていきます。

まずダルビッシュ。

選手 投球回 RSAA ’11チーム失点 ’12予想チーム失点
ダルビッシュ 232 42.94 418 461

RSAAは42.94で、ダルビッシュの投げた232回を平均的投手が肩代わりした場合、チームの総失点が約43点増えることになります。今季のファイターズの失点は418でリーグ2位でしたが、これが461となりリーグ2位に……って順位かわらないのか。ちなみに1位はホークス、3位はイーグルスで、ともに優秀な先発投手が抜けることから、リーグ全体の力関係はそれほど大きく変わることはないと思われます。

で、スレッジ。(一応注釈として書いておくと、2011年のスレッジはセ・リーグの選手なので、リーグ平均選手と比較するRCAAを用いるのは厳密には誤りです。セ・リーグはDH制がなく投手が打席に立つことから、パリーグと比べて「平均的選手」の成績が劣ります。その分を差し引いて考えるべきでしょう。それに、入ってくる選手についてはパークファクターの違いなども考慮しなくてはなりません。そこまでやるのは面倒なのでテキトーにいきます)

選手 打席 RCAA ’11チーム得点 ’12予想チーム得点
スレッジ 373 16.97 482 499

RCAAは16.97。彼がファイターズにいるリーグ平均的選手の373打席を肩代わりした場合、ファイターズの得点は482から499になり、順位も3位から3位と……やっぱり変わりません。

最終的にファイターズがもたついたのでアレですけど、昨季のパリーグは1位と2位、そしてそのほか(と6位……)の間に大きな差があったので、得失点にも結構差があるんですよね。

なので、ピタゴラス勝率という指標を使ってみます。これは得点と失点から見込み勝率を推測するもので、得点2 / (得点2 + 失点2) という非常に単純な式によって導き出されます。

そのピタゴラス勝率によると、今季のファイターズの得失点から推測される勝率は、4822 / (4822 + 4182) = 0.571 となります。実際の勝率.526と比較して明らかに高いですね。

二人のRSAA/RCAAを加味した得失点でもやってみましょう。 4992 / (4992 + 4612) = 0.534。クライマックスシリーズには出られそうですが、もしピタゴラス勝率と実際の勝率が昨年と同じような比率になると.492になり、ほぼBクラス確定の数字に。

とはいえ、一年というのもアレなので、過去6年のデータでピタゴラス勝率と実際の勝率がどの程度離れるかをみてみます(ほんとうはもっと遡りたかったけど、NPBのページに得失点が載っていなかった……)

年度 得点 失点 勝率 P勝率 勝率/P勝率
2006 567 452 0.603 0.611 0.986
2007 526 489 0.568 0.536 1.059
2008 533 541 0.514 0.493 1.044
2009 689 550 0.577 0.611 0.945
2010 612 548 0.525 0.555 0.946
2011 482 418 0.526 0.571 0.922

6年を平均すると実際の勝率はピタゴラス勝率の98.4%程度ですね。プラス方向への振れ幅は2007年の1.059が一番大きく、マイナスは2011年の0.922が一番大きいようです。これを2012年の予測ピタゴラス勝率に当てはめてみると、平均では.525、最高.566、最低.492ということになります。これだけ変われば順位も1位からBクラスまでどれもあり得ますが、さすがに.492で最下位というのはなさそう。この点はまず安心ですね。

とはいえ、これはわりとポジティブな数字です。RSAA/RCAAで計算されるのは「平均的選手」と比較した数字であることを忘れてはいけません。通常、ローテ1番手の投手が抜けると、2番手以降が繰り上がり5,6番手に新しい投手が入ることなるわけですが、そういった投手が「平均的選手」に比べて劣るのは自明です。(ただ、スレッジの場合、似たようなポジションのホフパワーが373打席とスレッジと同じ打席数でRCAA-0.39ですから、ほぼ額面通りの戦力向上が見込まれます)

まあ得失点が増減する要素なんて他にも山ほどありますから参考程度にしかなりませんが、こうやって数字をこねくり回して遊べるのも野球の面白いところです。